第13話 ヒゲ部商会設立!

ついにその日がやって来た。商会の開設受付は一体誰の都合か知らないが、16時30分という中途半端な時間。ヒゲ部を代表して設立申請を行うコロッケは早々にその日の仕事を切り上げて、申請予定のジェノヴァに向かったのだった。

「ジェノヴァ」なのである。マルセイユへの商会設立がいつになるか予想もつかないため、当面マルセイユに最も近いジェノヴァに商会を設立することとなった。喜びも半減、いや十分の一くらいまで減ってしまったが、商会を設立せず、いつ訪れるかも判らないフランスへの移民実現を待つことは、精神的にもきついということで、しぶしぶ出した結論だった。

せめて設立一番乗りをして、ヒゲ部の存在を人々に知ってもらおうと、コロッケは早々に商会管理局の前に陣取った。見たところ、同様に設立の一番乗りを狙っている様なものはいない。これなら、一番乗りは果たせそうだと、時間の過ぎるのを急いて待つのだった。

続きを読む "第13話 ヒゲ部商会設立!"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第12話 商会設立前夜

コロッケがイスパニアに来て2週間(まだ2週間!)が過ぎた頃、世界がにわかに騒々しくなってきた。これまで各国が認めていなかった商会の新規設立を近々解禁するというのだ。主要都市で20カ所、地方都市で10カ所の商館使用も許可されるとあって、大規模なグループ間でその争奪戦が予想されていた。また、設立商会数にも各都市100件の規制があるため、中小グループにもその認可獲得に緊張が生まれていた。
そのような状況の中、マルセイユでの商会設立を目指すヒゲ部もその準備に掛かっていた。合法非合法に集めた資金を元締めであるソレイユが集金して回り、受付開始に備えるのであった。

030905_000351
酒場の片隅で行われたカネの受け渡しの模様(酒場の監視カメラより)

しかし、ここで再び衝撃的な情報が伝えられる。「商会は所属国の街以外(他国の本拠地をのぞく)でも設立できます。」(マニュアル抜粋) なんと!!! マルセイユ(フランスの本拠地)には商会を作れないのか!!!
ずっと待っていたのに、またしても試練。ガンバレ、ヒゲ部!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第11話 機械仕掛けのオレンジ・・・青春のアルバム

若者達は腐っていた。慣れない街での生活、その苦労の中での出会い、そして飛躍。一連の興奮が徐々に収まるに従い、日常が色褪せたのものになって行く。また、今夜も酒場にたむろし、金儲けの虚しい自慢話に興じていたのだった。そんな時、料理人から意外な一言・・・

続きを読む "第11話 機械仕掛けのオレンジ・・・青春のアルバム"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第10話 師匠との出会い

仕事はとりあえず順調であったが、徐々に競争相手が増えてきて購入する下記の
価格が高止まりするようになってきた。仕入れが高いとどうしても利益が減って
しまう。このような状況をいつまでも続けていてはいずれジリ貧になってしまう
だろう。そこでコロッケは川上分野への参入を考えるようになった。

知っての通りコロッケは銃や弾薬を購入しては販売する仕事をしている。川上と
はつまり銃や弾薬を製造する鋳造業ということになる。幸いコロッケには仕事の
関係から鋳造の基礎を学ぶ機会があった。とりあえず、(なぜか)鋳造の基礎で
ある舵作りから始めた。

いつの時代も変わらないが、職人はとにかく手に仕事を覚えさせることが必要だ。
来る日も来る日も同じ商品を造る日々。店頭価格の半額で卸すため、赤字
スレスレで収入は得られない。
これまでの蓄財を食いつぶしつつ、懸命の修行を
続ける。

まとまった数量の材料を手に入れるため、交易所に周辺にいる人々からの買取を
すると、更に金がかさむ。コロッケと同じような駆け出しの職人が他にもいると
購入価格が釣り上ることもしばしば。先輩職人達が、材料相場を乱していると聞
こえるような陰口を叩いているのを聞くと、以前の気楽な運びや家業に戻ろうか
という気持ちが高まるのだった。

そんなある日、ソレイユがひとりの男性を紹介してくれた。立派なヒゲを蓄えた
その人物は名うての鋳造職人であり、みんなから旦那と慕われていた。彼は初対
面のコロッケに鋳造修行の極意を惜しげもなく教えてくれた。その話はコロッケ
にとって知らないことばかりで、今までの修行が如何に無駄が多いものだったか
を悟ったのだった。

030505_004208
師匠から講義を受けるコロッケ。しかし、立派なヒゲだ~。

翌日からのコロッケの成長を目覚しいものがあった。旦那を師匠と崇め、彼から
伝授された修行法に黙々と励む。修行に必要な教科書は、例え船1隻分の値段でも
躊躇無く購入した。ハンブルグの港にこもり、しばらく他の港に行かない日々も
あった。ただただ、最高の大砲を造れる職人になることを目標に遊びの誘いも断
り日々鍛錬に努めた。そして、ついに彼は一人前の鋳造職人となる。

今ではどのような大砲でも事も無げに造れる職人となったコロッケだが、もしあ
の時に師匠との出会いがなければ。人との出会いの大切さを大砲を造りながら改
めて噛み締める彼であった。(でもこの大砲で今日も命を落とす人がいる・・・
かなw)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第9話 コロッケ、校長と会う

たびたび、マルセイユを訪れているコロッケであるが、一ヶ所入れない場所があっ
た、それが宮殿である。そこにはヒゲ部設立の暁、顧問をお願いしようとしてい
るギーズ公爵(通称・校長)がいる。

早めに挨拶をしておく方が良かろうと、たびたび訪問しているのだが、身なりが
悪い、礼儀がなっていないと追い返される。ところが、ある日仕事をもらいに商
人ギルドに行ってみると、校長からの依頼があるという。相手側からの申し出な
ら、今度は会えるかもしれないと早速その仕事を請け負い、勇んで宮殿に向かう
のであった。

ところが相変わらず、入れてもらえない(涙)。呼んでおいてそれはないだろう!
と憤りつつも、ちょっと意地になったコロッケ、近くの道具屋で大枚を差し出し、
「金ならあるんや、かっこのええ服をくれんか」と上京してきた田舎の
親父のような注文でコーディネイトを無視した一張羅を揃える。
「こ、この服を着るのか・・・」と躊躇するほどの恥ずかしい服装だが、これが
貴族の好みでは仕方ない。白いタイツに提灯ブルマー、羽根突きの帽子を被り、
万全の準備で宮殿に向かう。

衛兵のそばで念のために香水も吹きかけ、再度謁見を申し込む。「ふむ、入って
よい」 お、ついに入場が許された。下級ながら貴族の自分に対し不遜な態度を
取る衛兵に腹は立つが、香水の香りが消えて衛兵の気が変わると困るのでそそく
さと宮殿の中へ入る。

校長室、いや宮殿は想像以上の立派さであった。いつもたむろしている薄暗い酒
場とは異なり、まさに絢爛豪華。荘厳な広間の奥に校長は立っていた。恐る恐る
近付くとちょっと目つきの悪い校長に声を掛ける。付け入る隙のない校長は間髪
入れず仕事の内容を語ると、黙ったままこちらを睨んでいる。 「さっさと、仕事
をしろ」
と無言で言っているようだ。

022805_224234
校長とメンチ切りするコロッケ。一瞬、宮殿内が凍り付くW

とりあえず今日はここまでにして、顧問就任の要請は次回へ持ち越し。折角校長
室に入れたので、ソレイユも呼んで記念撮影(やっぱりおのぼりさんだw)。な
お、仕事の内容はロンドンの宮殿まで書簡を届けるというもの。ついに国家の公
使を託されるまでになったと提灯ブルマーの紐をきゅっと締め直すコロッケであっ
た。

030105_000821
校長をバックに記念撮影。恥ずかし~。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第8話 謎の少女Lafiel

人との出会いがまた新たな出会いを生んでいく。仲間に加わった金造るがガールフレンドを紹介してくれると云うので、物見遊山よろしく出掛けるソレイユとコロッケ。なぜか足早で待ち合わせ場所に向かうのだった。

その少女は港で待っていた。いつもジャージ姿のコロッケ達と違い、えらく着飾ったその少女はLafielと名乗った。服装もそうだが、名前もあか抜けている。おしゃれに関心が強いらしく、あれこれとファッションについて語ってくれるが、アラブで育ったコロッケには判らない単語ばかりで、ただただ聞き役となるのだった。

022805_004337

これまで女性と接する機会が少なかったコロッケはずっとドギマギとしたまま、その日は別れた。結局、彼女の詳しい人となりも判らず、ましてや金造るとの関係も判らない。

別れの挨拶を交わす金造るを見つめつつ、遠い東洋からやってきて、すぐに女友達まで作ってしまう彼を少しうらやましく思うのだった。しかしその一方で心に抱く「きっと、金造るはもて遊ばれているに違いない!」との思いを、さすがのコロッケも口には出さなかった。ガンバレ!金造る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第7話 異国から来たフリーター

桃の木の下で義兄弟の契りを結んだ(?)4名は、この先に必要となるであろう商会設立資金の確保について相談でしていた。しかし、コロッケを除くと薄給の軍人ばかりで頼りにならない。まずは、商会設立に必要な信用(=名声)を獲得するために、いろいろなギルドからの依頼をまめにこなしていた。

022705_162847

しかし、徐々にマンネリとなり、当初の志を忘れてギルドの談話コーナーで与太話をすることが多くなった彼ら。そんな折、ジャンが友人を紹介したい言い出した。なんでも異国から来た男だという。すっかり生活に退屈していた彼らは一もなくその話に飛びつき、めいめいの船でジャンの友人の待つ街に向かうのだった。

022705_170155

その男は街の外れにある防波堤で釣り糸を垂れて待っていた。小柄だが目つきに厳しいその男、「松下金造る」と名乗る。アジアの外れ日本から商売の修行にやって来たのだそうだが、昼間から釣り糸を垂れている様子はどう見ても定職についているようではない。恐らく日本に仕事がないため、ヨーロッパで一旗揚げるのだと親に大見得を切って国を飛び出し、都会の誘惑に負けて遊び惚けているのだろう。本人ははっきりしたことを話さないが、時々飲食店でアルバイトをして「調理スキル」を磨いているようだ。サミュエルトン商会の様なところで立派に働いていると信じているであろう親御さんには伝えられない事実である。

022705_224321

ちょっと落ち着かない様子があるものの、時々料理をご馳走してくれるなかなか気のよい奴である。ヒゲがないのは残念だが、異国から来たという素性の面白さと、何よりおいしい手料理は魅力的であり、「背に腹はかえられん!」の格言に従い、仲間に迎え入れることとなったのだった。

なお、後日談だが、金造るはその後、マルセイユにレストランを開き、安くてボリュームのある揚げ物で一稼ぎする。その材料はくず肉に(当時悪魔の食べ物と云われた)ジャガイモである。彼はジャガイモをふかした後で、潰すことで原型を無くし、カブだと言い張って売ったのだ。ほとんど原価がゼロだったため、安価で販売することができ、大衆に広く支持された。それが後の「コロッケ」である。このコロッケという名が彼の友人のニックネームから取られていることはあまり知られていない。金造るはなぜその名を付けたか聞かれた時、「どっちも悪魔に魂を売ってるから」と恐ろしく毒のある答えをしたそうだ。汝も邪悪なり!>金造る

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第6話 誓い

故郷から帰って一皮むけたコロッケ。すでに失う物のない彼は安い仕事に奔走する仲間達を高いところから眺めていた。

022605_235120

そんな折、新たな仲間が加わることとなったのだ。ジャンと同じ軍人である。彼をみんなは「ふるちん」と呼んでいる。なんでも昔付けたあだ名が未だに生き残っているそうだ。インパクトの強いあだ名は恐ろしいものだが、彼はこの名を気に入っているようなので我々3人もふるちんと呼ぶことにした。

そして、彼らはお互いにある共通点が「偶然に」あることに気づいたのだ。そう4人とも「ヒゲ」があるのだ。この共通点に気をよくした4人はいつか故郷フランスに「ヒゲ部」と云う名の商会を立ち上げようと誓うのであった。

022605_213620x

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第5話 コロッケ故郷に帰る(総天然色カラー)

仕事は順調だったが、徐々に商売での儲けに不満を持つようになってきたコロッケ。多くの仲間が食料品などかさばるが利幅の少ない積み荷をあくせく運ぶ中、高額で利幅の高い武器を多く扱い、船の容積を最大限に活かして利益を上げていた。すれ違うライバルを見ても、彼以上の商人を見ることはなかった。だが、それでも彼は満足できなかった。

そんな時、ふと故郷のアルジェを思い出す。治安が安定しないアルジェでは必然的に武器の需要が多く、常に高値で取り引きされていた。アルジェに武器を持っていけば、今よりももっと大きな利益を上げられるかもしれないのだ。だが、故郷で武器を売ると云うことは自らの売った武器が友人や故郷の人々の命を奪うことになるかもしれない。つまり故郷を売ることとも言えた。

苦悩するコロッケは偶然、セビリアの街角にあるキオスクで異国のライフル協会なる団体が発行しているパンフレットを見掛ける。そこにはこう書かれていた。「武器は人を殺すためにあるのではない。平和を望む人が自らを守るためにあるのだ」 この見事は論理のすり替えに目から鱗が落ちるコロッケ。そうだ、故郷の人々の「平和を守る」ため、武器を売りに行こう!

果たして、故郷に戻ったコロッケ。大量の武器を交易商に売りさばくのだった。だが、取引の後に交易商がポロッともらした「今火器は大暴落だよ・・・、ふー」の一言に何か暗い不安が蘇る。しかし、次の瞬間には多額の売却代金をほくそ笑みながら数えるコロッケであった。

022605_074929x

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第4話 新たな仲間

仕事に追われる日々。そんなある日、友人のソレイユから一人の男を紹介される。男の名はジャン=ポール。厳つい顔つきだが、話をしてみると木訥ながら気のよい好漢であった。我々と同じフランス出身で、今はイスパニアの准士官である。士官と云えば聞こえは良いが、異国のこと、所詮は国に雇われた傭兵だ。どこか心の中に割り切れない思い、切なさを持っているようだった。

022605_013137x


異邦人としての苦労をお互いに分かり合える3人。心を開いて打ち解けるのに多くの時は必要としなかった。その後、休日には探検に出掛けるなど親交を深めていくのであった。

022605_022142x

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

ヒゲ航海記 | 航海の準備中 | 航海日誌 | 雑記